
故き良きフランスのにおい漂う一冊
バタをひとさじ、玉子を3コ
石井 好子 (著)おすすめ度:★★★★☆
感想シャンソン歌手の石井好子さんと言えば
『パリの空の下オムレツのにおいは流れる』の著者としても有名ですよね。
このエッセイからも、おいしいにおいが流れてきました。
彼女が過ごした50年代のプランスの様子が
イキイキと伝わって遠い異国の地に思いを馳せて読みました。
印象深かったのが「パリで一番のお尻」と「ひたすら食べた女四人イタリーの旅」。
「パリで一番のお尻」という短編は、ちょっともの悲しいエピソード。
石井さんが当時、出演していたカフェで働く女性の身の上話が書かれています。
主人と子どもを捨て、別の男と家出をし、カフェで働く日々を送る女性。
愛する子どもを亡くした女性…。
食べ物の話ももちろん出てくるのですが、
悲しい思い出を胸に秘めながらも、
華やかな場所で働くという対照的な光景が強烈に心に残りました。
「ひたすら食べた女四人イタリーの旅」はそれとは対照的。
楽しそうな様子とおいしそうなものが満載です。
こんな旅、わたしもいつかしてみたいなと思わせてくれます。
石井さんの秘書をされていた矢野智子さんのあとがきも印象的でした。
一部抜粋です。
“事務所は夕方五時半を過ぎるとバーになる。
「そろそろ一杯いかが」で始まり、白ワインを抜き、先生が夕食に食堂へ下りられるまでの一、二時間、仕事を片づけながら、たわいのない話をすることが多かった。
〜中略〜
一人目はレビューで歌われていて、二人目は十六区を、あの美しい足どりで食事へ向われているのに、三人目の好子さんは大好きな御家族のもとへ静かに逝ってしまわれた。”
そうか。
石井さんはもうこの世にはいらっしゃらないんだ。
という思いで本を読みおわりました。
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